アリとキリギリス

 

アリは来るべき冬に備えて

せっせと働いて食料を蓄える。

キリギリスはそんなアリをみながら

好きなバイオリンを弾いている。

 

キリギリスは、こんなにたくさん食べ物があるじゃないかとアリに言ってみる。歌を歌おう、踊ろうと誘う。

アリは、もうすぐ冬がやってくる。冬は寒くて食べ物がなくなるんだ。君も食料を蓄えた方がいいと言ってみる。

 

キリギリスは、冬なんてまだまだ先じゃないか。僕は好きなことをやっていくよ。

 

アリは、冬が来たらきっとお腹が空いて困るに決まってる。

僕は地道に食料を備えておこう。

 

やがて、秋が来て、冬が来て、食べ物がなくなる。寒くてたまらない。

 

キリギリスは、アリに食べ物を分けて欲しいと懇願する。僕が間違っていたと。

 

アリは、キリギリスを哀れにおもい、家に招き食事をご馳走した。

 

というお話。

 

教訓。

先のことを考えて、いざという時に困らないように蓄えておく。

やるべき時にやらないとあとで辛い思いをする。

地道がいちばん。

自分の好きなことばかりしていたけれど、助けてくれる誰かがいたことに感謝する。

自業自得な結果にも関わらず、助けてあげる大きな心。

好きなことばかりやってても、この先ずっと楽しいとは限らないことを知る。

苦労して食べ物を集めて、大変な思いをしたから、人の痛みがわかるようになる。

 

キリギリスの生き方は、刹那的。

その場良ければいいのだ。

自分の好きなことをやり続けて、限られた時間を楽しんでいる。

ただ、窮地に立たされ、誰かに助けを求めず、凍え死ぬことを選んだのなら、それは潔い。

助けられたことで、恩を感じ、誰かのために役に立てれるようになろうと決めたのなら、それは強い。

ただ、そんなことを忘れて、苦しい時だけ誰かに助けを求めるならば、それは愚か。

 

アリは、誰に何を言われても、黙々とやるべきことをやった。自分のために。生きるために。

遊ぶ時間を惜しんでは、来るべき時に備えてひたすら働いた。大変な思いをした時間がとても長かった。

なんの努力もしないのは、この先きっと困ることになるだろう。

今は辛いけど、最後に笑えればいい。自分は間違ってなかったと。

食べ物が足りなくなるかもしれないけど、誰かが困っているなら、助けてあげよう。そう思えるようになった。

 

人のことを見ては、

あの人はまるでキリギリスのようだ、

あの子はまるでアリのようだ、

と言ってみてはいるが。

 

ワタシはどちらなのか?

 

もし、キリギリスだったら、限られた時間を好きなように使って何が悪い。

死ぬときは死ぬんだ。

今こそすべて。困ったことが起きたとしても、起きたときに考えりゃいい。

 

もし、アリだったら、ざまぁみろ。何もやってなかったから仕方がないだろ。楽してたクセに。

なんで、長い間苦労して集めた食料を、遊んで暮らしてたやつにあげなきゃいけないんだ。

調子がいい。飢え死にしても仕方ないじゃないか。

なんて、ちょっとぐらい思ったりもする。

 

ワタシは、

キリギリスにもなり切れなく、

アリにもなり切れてはいない。